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マイクの近接効果とは?マイクに近づくと低音域が強調される現象

近接効果とは? マイクコラム

マイクには、近接効果と呼ばれる特性があります。

この近接効果とは、音源がマイクに近づくと低域が強調される特性です。

近接効果は、マイクの構造上どうしても出てしまう特性なのですが、マイクは必ずしもフラットで原音に忠実なものが良いとは限りません。

音楽のライブやレコーディングでは、この近接効果をうまく利用することで、より良い音を録ることができる場合もあります。

このページでは、マイクの近接効果はなぜ起こるのか、近接効果をなくす方法、近接効果は現場でどのように活用できるのか、などといったことを順にまとめていきます。

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マイクの近接効果とは?原理や仕組みを理解しよう!

まずは、マイクの近接効果がどのような現象なのか、原理や仕組みをまとめていきます。

マイクの低音域が強調される現象

マイクの近接効果とは、マイクと音源が近い状態で収音を行うと、低音域のみが強調されるという現象です。

もう少し具体的に言うと、マイクから30cm以内の距離に音源がある状態で、指向性を持つマイクを使用すると、周波数帯域の200Hz以下の低音域のみが強調されるという特性です。

また、マイクと音源との距離が近づけば近づくほど、低音域が強調されていきます。

強調されることで、音が少しこもるような感じになります。

指向性を持たせるための代償

なぜ、マイクの近接効果が起きるのかというと、マイクの指向特性が大きく影響をしています。

指向性とは、マイクのどの方向からの音を拾いやすくしているかを表している性能で、大きくは単一指向性、双指向性、無指向性に分かれています。

この中でも、近接効果が起きるのは単一指向性と呼ばれるマイクの正面からの音を中心に拾う特性のマイクになります。

マイクには、ダイアフラムと呼ばれる振動板が付いていて、この振動板が空気の揺れによって振動することで、電気信号を生み出す仕組みになっています。

マイク正面からの音は、ダイアフラムの表面に当たって振動板を揺らしますが、実はマイクカプセルの横にも小さな隙間があり、正面から回り込んだ音や正面以外からの音が少し遅れて振動板の裏面に到達します。

振動板の裏面に到達する音は、振動板の表面に到達する音よりも約8.5mm長い距離を旅することになり、振動板の表裏で音圧の差を生み出しますが、これがマイクに指向性を持たせる仕組みであると同時に、近接効果を生み出してしまう原因になっています。

近接効果は、マイクに指向性を持たせるための代償なのです。

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近接効果を無くす方法

ここからは、近接効果が発生してしまう場合にどのような対策を取るのが良いか、その方法を紹介していきます。

近接効果の少ないマイクを使用する

近接効果を抑える特殊な技術を使ったマイクを使えば、近接効果を抑えることができます。

具体的には、2枚のダイアフラムを使用して指向性をコントロールする仕組みであったり、ダイアフラムの背面に干渉ダクトを設けることで近接効果を抑えたりなど、メーカーが様々な技術を用いて対策を行っています。

また、スイッチによって低音をカットできるマイクもあるので、近接効果が気になる時や必要ない場合はスイッチで切ることも可能です。

近接効果を抑えるマイクとしては、SHUREのKSM8というダイナミックマイクがあります。

2枚の超薄型ダイアフラムと逆エアフローシステムカートリッジによって、大幅な近接効果の抑制を行っているマイクです。

レンジが広いため、ボーカルの存在感が非常に高まるマイクです。

無指向性のマイクに変えてみる

前述のとおり、近接効果は単一指向性のマイクで起きますので、無指向性のマイクに変えることで近接効果は大きく減少します。

無指向性とは、指向性の無いマイクでマイクの正面・背面関係なく、360°周りの音を拾ってくるマイクです。

無指向性マイクだと、単一指向性のマイクとは仕組みが異なり、近接効果は起こらないため、近接効果が気になる場合は変えてみるのも良いでしょう。

ただし、無指向性マイクは、正面以外の音も拾ってしまい、ノイズや騒音が発生しやすいマイクになるため、周りの環境が静かな場合にこの方法を行うのが良いでしょう。

おすすめは、audio technicaのAT4050のマイクです。

AT4050は、単一指向性・双指向性・無指向性の3つをスイッチによって切り替えることが出来るマイクです。

そのため、通常時は単一指向性で録音しているけど、近接効果が気になる場合は無指向性に切り替えて録音するといったことができます。

マイクから離れて歌う

マイクを音源から数センチ離せば、近接効果による影響は少なくなります。

前述の通りで、近接効果はマイクに近づいて音が拾われる際に起こる現象なので、マイクから離れることで起きにくくなります。

ただし、マイクから離れている音源は拾いにくくなっているので、離れすぎると音痩せしてしまいます。

また、ライブなど周りからいろんな音が入ってくるような状況では、あまり現実的ではないかもしれません。

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近接効果を活用する方法

近接効果は、本来マイクにとって不必要な現象ですが、音楽の現場などではこの近接効果をうまく利用しているアーティストやエンジニアもいます。

例えば、ボーカリストなら温かみのある音や存在感を示したい場合、近接効果をエフェクトのように曲の要所で使うことができます。

エンジニアであればマイキング位置によって、楽器の低音の量を調整することができます。

また、ライブやレコーディングの場合は、イコライザーなどで低音の量を調整することもできますが、イコライザーは位相を崩してしまい音のクオリティーを下げてしまう可能性があるので、積極的に使うべきものではありません。

良いエンジニアは、近接効果やその他マイクの特性を理解したマイキングを行うことで、イコライジングをなるべくしないような工夫をしています。

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まとめ

このページでは、近接効果についてどうして起こるのか、また対策や活用方法までをまとめてみましたが、いかがでしたでしょうか?

マイクの特性はメーカーによってもさまざまですが、近接効果は基本的にほぼ全てのマイクにおいて起こる現象です。

同じマイクを使ったとしても、近接効果の仕組みや上手く活用する方法を知っておくことで、より質の高い音を録ることができるようになります。

マイクの特性をしっかり理解して、今後のマイク運用に役立ててみて下さい。

最後までお読みいただきまして、ありがとうございました!