自宅での録音を行う際に、良く使われる機材としてマイクプリアンプという機材があります。
マイクプリアンプとは、マイクで拾った微弱な音声信号を増幅させて、スピーカーなどでも聞けるような音量まで引き上げる機材になります。
マイクプリアンプは、レコーディングで使われることが多い機材ですが、最近ではオーディオインターフェイスの内部にも搭載されているため、少しずつ使われなくなってきました。
このページでは、マイクプリアンプがどういう機材なのか、使い方や接続方法、またマイクプリアンプの必要性についてまとめていきます。
マイクプリアンプとは?
マイクプリアンプとは、マイクロフォンプリアンプリファイアーという略称で、冒頭で解説した通り、マイクの音声信号を増幅させる、という役割を持っています。
マイクは、音による空気振動によって揺れた振動板から発生した電気信号を、マイクケーブルで送っている機材です。
この発生した電気信号は、非常に微弱なものとなっていて、音楽プレーヤーなどから出ている信号とは、比較にならないほど小さいです。
そのため、マイクで拾った音声はそのままでは、ほとんど使うことが出来ません。
マイクプリアンプは、この小さな電気信号を大きな電気信号に増幅させて、音量を引き上げるという役割をしています。
マイクプリアンプの使い方・接続方法
マイクプリアンプは、必ずマイクの後ろに繋げる必要があります。
例えば、オーディオインターフェイスを使ってパソコンに音声入力している場合は、
マイク⇒マイクプリアンプ⇒オーディオインターフェイス⇒パソコン
と、マイクとオーディオインターフェイスの間にプリアンプを繋ぐ必要があります。
これは前述の通り、マイクの電気信号を引き上げるためにマイクプリアンプは使いますので、マイクのすぐ後ろに接続する必要があります。
マイクプリアンプの必要性
ここまでマイクプリアンプについてまとめていきましたが、実はマイクプリアンプは必ずしも必要な機材ではありません。
マイクプリアンプが無くても、マイクによる録音は可能なのです。
そこでここからは、マイクプリアンプを使う必要性について、解説していきます。
オーディオインターフェイスにも搭載されている
パソコンを使って、DTMなどマイクの音声入力を行う場合には、ほとんどオーディオインターフェイスが使われています。
オーディオインターフェイスは、マイクで拾ったアナログ音声をデジタル音声に変換してパソコンに入力する役割と、パソコンから送られたデジタル音声をアナログ音声に変換してヘッドホンやスピーカーに出力する役割、を果たしています。
実は、このオーディオインターフェイスには、マイクプリアンプが搭載されています。
実際に、マイクとオーディオインターフェイスを接続しただけでも、しっかりとパソコンに音声入力することができます。
これは、オーディオインターフェイスに繋いだマイクからの電気信号を、オーディオインターフェイスの内部にあるマイクプリアンプが増幅させて、パソコンに送っているからです。
そのため、前述した通り、マイクプリアンプは必ず必要な機材ではありません。
マイクプリアンプのメリット
マイクプリアンプは、必ず必要ではないことが分かりましたが、では、マイクプリアンプは何のために使うのでしょうか?
ここからは、マイクプリアンプを使うメリットを紹介していきます。
増幅度合いが高い
まず、オーディオインターフェイスに搭載されているマイクプリアンプと、単体のマイクプリアンプでは、圧倒的に単体のマイクプリアンプの方が音声信号を増幅させる度合いが高いです。
オーディオインターフェイスのマイクプリアンプが悪いわけでは無いのですが、単体で発売されているマイクプリアンプと比べると質は低くなっています。
そのため、品質面ではマイクプリアンプ単体の方が良いと言えます。
ただし、オーディオインターフェイスのマイクプリアンプでも十分な性能を果たしていますので、より立体的な音を求めるのであれば、マイクプリアンプ単体を使うべきかと思います。
ファンタム電源が付いている
ファンタム電源とは、コンデンサーマイクを使う際に必要となる電源のことで、ほとんどのマイクプリアンプに付いています。
マイクプリアンプにコンデンサーマイクをXLR端子で繋いで、ファンタム電源のスイッチを押すことで、コンデンサーマイクにファンタム電源が送られます。
このファンタム電源もオーディオインターフェイスに搭載されている場合がありますが、安いものだと付いておらず、コンデンサーマイクを使うことが出来ません。
そのため、もしお持ちのオーディオインターフェイスにファンタム電源が付いていないけど、コンデンサーマイクを繋ぎたいという場合には、マイクプリアンプを使う選択肢も出てくると思います。
好みの音質を求められる
マイクプリアンプを使う最大のメリットは、自分好みの音質で音作りできる、という点になるかと思います。
マイクプリアンプの役割は、すでにお伝えした通りで、マイクの音声信号を増幅させることですが、その機材によって増幅させた際の音が異なります。
例えば、暖かい音であったり、非常にクリアな音であったり、とそれぞれのマイクプリアンプで個性が異なります。
曲調や楽器、声質などでマイクプリアンプを使い分けることで、より個性的でかつ最適な音質を求めていくことができます。
オーディオインターフェイスのプリアンプは、良くも悪くも癖が少なく個性は薄いものが使われているため、音をより突き詰めるのであれば、マイクプリアンプは必要になってくるはずです。
マイクプリアンプのデメリット
一方で、マイクプリアンプを使うデメリットも記載しておきます。
価格が高い
マイクプリアンプは、高級なものが多く、個人ではなかなか手に入れづらい、というデメリットがあります。
安いものでは6,000円くらいからありますが、自分好みの音質かどうかは使ってみないと分からない部分が大きいです。
他の機材と同様に価格が高くなればなるほど、より良い音質を求めていけることになります。
試しに安いものを買って使ってみるのはありですが、高級なマイクプリアンプは価格と自分の求めている音質と一致するかどうか、しっかりと調べてから選ぶようにしましょう。
繋ぎ方が複雑になる
マイクプリアンプを入れる場合、繋ぐ機材が増えることになるので、繋ぎ方が複雑になってしまいます。
特に、複数の楽器やマイクを繋いでいる場合は、どのマイクにどのマイクプリアンプを使うのか、をしっかりとチェックした上で繋いでいく必要があります。
そのため、これまでマイクとオーディオインターフェイスだけで音声入力していた方からすると、マイクプリアンプを使うことで、少し手間が増え複雑化してしまうデメリットが出てきます。
おすすめのマイクプリアンプ
最後におすすめのマイクプリアンプを紹介していきますので、これからマイクプリアンプを購入したいと考えている方は、是非参考にしてみてください。
ART TUBE MP
1つ目は、ARTから発売されているTUBE MPという真空管モノラル・マイクプリアンプです。
12AX7真空管を使用したコンパクトでリーズナブルなマイクプリアンプで、最大ゲインは70dBとどんなマイクにも対応できます。
また様々な楽器にも対応できコスパの非常に高い商品です。
ART TUBE MP STUDIO V3
2つ目も先ほどと同じくARTから発売されているTUBE MP STUDIO V3というマイクプリアンプです。
ベストセラーのTUBE MPの新バージョンのプリアンプで、ボーカル、ギター、ベースと様々な音源に合わせてプリセットされたV3ボイシング回路を搭載しています。
ボーカル用はもちろんですが、アコギにもぴったりのプリアンプです。
BEHRINGER MIC2200 V2
3つ目は、BEHRINGERから発売されているMIC2200 V2というマイクプリアンプです。
真空管12AX7を搭載し、太くて温かみのあるヴィンテージ・チューブサウンドを驚きの低価格で実現したマイクプリアンプです。
様々なマイクや楽器との相性も良く、レコーディングからライブまで、あらゆる場面で活躍します。
まとめ
このページでは、マイクプリアンプがどんな機材なのか、使い方からメリット・デメリットまでをまとめてきましたが、いかがでしたでしょうか?
マイクプリアンプの役割は、マイクの微弱な音声信号を増幅させて入力レベルを引き上げる、ことになります。
ただ、同様の役割をオーディオインターフェイスが行っているため、現在ではマイクプリアンプは個性的な音質を求める場合に使われることが増えています。
すでに自宅などで録音を行っている方は、一度マイクプリアンプを使ってみると、その違いに気づけるかと思います。
最後までお読みいただきまして、ありがとうございました!