マイクには、大きく単一指向性、双指向性、無指向性という3種類の指向特性があります。
この指向特性とは、マイクに対してどこからの音を拾いやすくしているか、を表しているものです。
指向特性の中でも、単一指向性はさらに複数に分かれており、その内のひとつがハイパーカーディオイドと呼ばれるタイプになります。
ハイパーカーディオイドは、狭い正面からの音が拾いやすくなっていて、より周りの音を拾わないのが特徴です。
このページでは、単一指向性のハイパーカーディオイドのタイプについて、どのような性能のマイクなのか、用途やおすすめのマイクをまとめていきます。
ハイパーカーディオイドとはどんなマイク?
冒頭でも解説しましたが、ハイパーカーディオイドとは単一指向性の種類の一つになります。
単一指向性とは、マイクの正面の一方向からの音を拾いやすい、という性質を持っています。
また、単一指向性はさらに以下の4種類に分かれています。
- カーディオイド
- サブカーディオイド
- スーパーカーディオイド
- ハイパーカーディオイド
下にいくほど、正面からの音を拾う角度が狭まっており、ハイパーカーディオイドはその中でも最も狭いタイプの特性を持っています。
横方向からの音を拾いにくい
ハイパーカーディオイドは、マイクの横方向からくる音を拾いにくい、という特徴があります。
なぜなら、ハイパーカーディオイドは、マイクの正面からの音は当然拾いやすくなっていますが、その側面からの音を拾う角度は105°となっているからです。
そのため、正面からずれた側面方向や横方向からの音に対しては拾いにくい、という性質を持っています。
なお、カーディオイドが131°、スーパーカーディオイドが115°となっているので、ハイパーカーディオイドが非常に狭い角度からの音だけを拾っているのが分かります。
背面からの音は多少拾う
ハイパーカーディオイドは、マイクの背面からの音を多少拾う、特徴があります。
前述したように、ハイパーカーディオイドは単一指向性の中の一つのタイプになります。
この単一指向性はマイクの正面からの音を拾いやすいだけでなく、マイクの背面からの音は拾いにくい、という性質を持っています。
背面からの音を全く拾わないわけでは無いですが、単一指向性のマイクは正面からの音を0としたときの、背面の音に対して減衰量を設定しているため、拾いにくくなっています。
ただし、ハイパーカーディオイドは単一指向性の中でも、背面からの減衰量が6dBと少ないため、正面ほどでは無いですが背面からの音も多少拾う性質を持っています。
なお、単一指向性の中でもカーディオイドタイプは、減衰量が25dBとほとんど背面からの音を拾わないタイプになっています。
ハウリングに強い
単一指向性のマイクは全般的に言えますが、ハイパーカーディオイドのマイクもハウリングに強いという特徴があります。
ハウリングは、マイクで拾った音がスピーカーなどから流された時に、その音をもう一度マイクが拾ってしまいスピーカーから流れることで、特定の周波数帯域の音だけが増幅されてしまう現象です。
ハイパーカーディオイドは、前述の通り音を拾う側面からの角度が狭く、真横からの音はほとんど拾うことがありません。
そのため、マイクの真横や斜め前辺りに設置されているスピーカーの音をマイクが拾いづらく、ハウリングに強いと言えます。
特に、ハイパーカーディオイドは、単一指向性の中でもハウリングに最も強いタイプのマイクになります。
ハイパーカーディオイドのマイクはどんな使い方に適しているか?
ハイパーカーディオイドがどのような特性を持っているかが分かってきたところで、ここからはどのような使い道に適しているのか、用途などをまとめていきます。
スポーツ中継
野球やサッカーなどのスポーツ中継やテレビ中継では、ハイパーカーディオイドタイプのマイクが使われていることが多いです。
なぜなら、スポーツなどの中継では周りの歓声や声援が大きく、通常のマイクでは拾われてしまうことがあるからです。
そうすると、重要な中継者の声が拾われないや埋もれてしまうなどの現象が起きてしまいます。
このような際にハイパーカーディオイドタイプのマイクを使うことで、周りの音は拾わずに中継者の声をしっかりと届けることができます。
講演
講演会などのマイクでも、ハイパーカーディオイドは使われることが多いです。
なぜなら、講演会ではあまり動くことが無く喋るため、正面以外の音を拾う必要が無いからです。
また、マイクの横などにスピーカーが置いてあるため、広い指向特性のマイクを使ってしまうとハウリングしてしまう可能性があります。
そのため、講演会などで使うマイクにはハイパーカーディオイドが合っています。
宅録
ハイパーカーディオイドは、あまり音楽用に使われることはありませんが、宅録の際にはハイパーカーディオイドのマイクが使われることがあります。
部屋の状況にもよりますが、ノイズや騒音が大きいような自宅で録音する際は、周りの音を拾わないようにする必要があります。
そのため、周りの音が拾いにくいハイパーカーディオイドは宅録でもおすすめです。
ただし、ハイパーカーディオイドは背面の音も拾う可能性が出てきますので、部屋の残響音なども拾われてしまうことがあります。
おすすめのハイパーカーディオイドマイク
ハイパーカーディオイドの特徴や用途が分かってきたところで、最後におすすめのハイパーカーディオイドマイクを紹介していきます。
audio technica / AT2040
audio technicaから発売されているAT2040は、宅録用のハイパーカーディオイドマイクです。
エアコンの音や振動音など、宅録で困るノイズを最小限に抑えるように作られたマイクがこのAT2040です。
自宅での宅録はもちろん、動画製作の収音やストリーミング配信でも使えるマイクです。
また、マイクの内部にはポップフィルターが内蔵されており、よりクリアな音声で拾えるような仕組みになっています。
AKG / C414 XLII
ハイパーカーディオイドを含む9種類の指向性を切り替えることが出来るのが、AKGのC414 XLIIです。
プロのレコーディングでも使われているマイクで、安定したクリアな音を収音することができます。
ボーカルはもちろんですが、ギターやピアノなどの楽器収音や宅録にもぴったりなマイクです。
使う環境や部屋のノイズ音に合わせて指向性も切り替えることが出来るので、少し高いですがおすすめです。
まとめ
このページでは、単一指向性の中でも最も狭い角度からの音だけを収音するハイパーカーディオイドについて、マイクの特徴や用途からおすすめのマイクをまとめてみましたが、いかがでしたでしょうか?
ハイパーカーディオイドの大きな特徴は、
- 真横の音を拾いにくい
- 背面の音は少し拾う
- ハウリングはしにくい
という特徴があり、非常に周りの音を拾いにくく声だけをしっかりと拾ってくれます。
特に、自宅で宅録したいけどノイズに困っているといった場合は、ハイパーカーディオイドタイプのマイクを一度使ってみてはいかがでしょうか?
最後までお読みいただきまして、ありがとうございました!