コンデンサーマイクを調べていると、良くファンタム電源が必要と書かれていませんか?
コンデンサーマイクは、微弱な電気信号を増幅させたり、インピーダンスの変換を行うための電子回路が内部に備わっており、仕組み上電気が必要なマイクです。
その電気で主に使われているのが、ファンタム電源と呼ばれる電気です。
このページでは、ファンタム電源がそもそもどういう電気なのか、使う場合の注意点やUSB電源との違いをまとめていきます。
ファンタム電源とは?
まずは、ファンタム電源について、解説していきます。
コンデンサーマイクを動かすのに必要な電源
冒頭でも記載しましたが、ファンタム電源はコンデンサーマイクを動かすために必要な電源として、使われていることが多いです。
マイクには、ダイナミックマイクとコンデンサーマイクの大きく2種類があり、コンデンサーマイクは電気を使って拾った音の電気信号を増幅することで、より音質や繊細な音を表現できるマイクです。
コンデンサーマイクの電源としては、ファンタム電源・USBバスパワー・プラグインパワー(3.5mmジャック)・乾電池など、様々な電源がありますが、特に録音などの音楽で使われることが多いのが、ファンタム電源になります。
なお、コンデンサーマイクの仕組みや種類などが気になる方は、以下のページも参考にしてみてください。
ファンタム電源の仕組み
電源というと、アダプターみたいなものでマイクに電源を供給すると思われますが、ファンタム電源はマイクケーブルを伝って電源が供給される仕組みになっています。
具体的には、オーディオインターフェースやミキサーから、XLRケーブルを使ってファンタム電源がマイクに送り届けられています。
XLRケーブルの端子にはピンが3本出ており、この中の2番ピン(オス側の右上)と3番ピン(オス側の下)によってファンタム電源が送られていきます。
そして、残りの1番ピンを通って戻ることで、電流が繋がっています。
なお、XLRなどマイク端子についてもっと知りたい方は、以下のページも参考にしてください。
ファンタム電源は48Vを使うのが一般的
ファンタム電源には、電圧の大きさで48Vや24V、9Vなどが存在しています。
ただ、一般的には48Vのファンタム電源を使うことが多いです。
深い理由は無いようですが、ファンタム電源が搭載されている機器では48Vがほとんどです。
また、DC+48Vとも記載されていることがありますが、DCはDirect Currentの略で直流を意味しています。
ファンタム電源が搭載されている機器
ファンタム電源を使う場合は、
- オーディオインターフェース
- ミキサー
- マイクプリアンプ
これらの機器に搭載されていることが多いです。
オーディオインターフェース
主に、パソコンでマイクを使って録音する際に、使われることの多い機器が、このオーディオインターフェースです。
マイクで拾ったアナログ信号の音をデジタル信号に切り替えるのが、オーディオインターフェースの役目になっています。
種類にもよりますが、オーディオインターフェースにファンタム電源が搭載されていることが多く、コンデンサーマイクを繋ぐ場合は、ファンタム電源のボタンをオンにすることで、マイクケーブルを伝って電気が供給されます。
ミキサー
ミキサーもオーディオインターフェースに似ている部分がありますが、様々な音の信号を調整して、出力する機器がミキサーになります。
ゲインからイコライザーまで調整した音を出力することが出来るので、オーディオインターフェースのように原音では無い音を出力できます。
このミキサーにも、コンデンサーマイクを繋ぐ場合のために、ファンタム電源が搭載されています。
マイクプリアンプ
マイクプリアンプにも、ファンタム電源が搭載されていることが多いです。
マイクプリアンプの役目は、マイクで入力された音声を増幅させて出力することが役割になっています。
録音の場合に必ずしも必要ということではありませんが、より音を幅広くしたり印象が変わることが多いので、使われることも少なくないです。
そして、このマイクプリアンプにもファンタム電源が入っていることが多く、その場合コンデンサーマイクを使うことができます。
ファンタム電源を使う際の注意点
ファンタム電源が何なのかが分かってきたところで、実際に使う場合の注意点をまとめていきたいと思います。
ファンタム電源は使い方次第では、マイクの故障やノイズに繋がる可能性がありますので、注意してください。
XLRケーブルを必ず使用する
マイクケーブルには様々なタイプのものがありますが、XLRケーブルしかファンタム電源を使うことは出来ません。
理由は、ファンタム電源はマイクケーブルを伝ってコンデンサーマイクに流れますので、XLR端子のように3ピンでそれぞれ役割を持っているケーブルしか使うことが出来ません。
また、XLRオス-メスケーブルを必ず使う必要があります。
例えば、コンデンサーマイクを挿す側の端子はXLR端子なのに、ファンタム電源を搭載している機器に挿すのはフォーン端子だと、ファンタム電源が流れないため、コンデンサーマイクを使うことが出来ません。
ファンタム電源を使う場合は、マイクケーブルにも注意しましょう。
ダイナミックマイクには使用しない
間違えてしまいがちなのが、ダイナミックマイクにファンタム電源を流してしまうことです。
それまで、コンデンサーマイクでファンタム電源を使っていて、そのままの設定でダイナミックマイクを繋いでしまうことはありがちです。
ほとんどのダイナミックマイクは構造的に間違えてしまっても大きな問題はありませんが、一部のダイナミックマイクは故障の発生になります。
そのため、念のためダイナミックマイクへの切り替え時は、ファンタム電源がオンになっていないか、気を付けるようにしましょう。
コネクターの抜き差しやオンオフ時のノイズに注意
ファンタム電源を流したまま、コネクタを抜き差ししてしまうと、大きな音がなってしまい音響機器が壊れる原因になります。
マイクケーブルを抜く場合は、必ずファンタム電源をオフにしてから抜くようにしましょう。
また、オンオフ時にもノイズが発生してしまう場合があります。
特に、オーディオインターフェースなどの音量が上がった状態で、いきなりオンにするとノイズが発生しやすいため、入力ゲインや出力音声を下げてからオンオフすることを心掛けましょう。
ファンタム電源とUSBバスパワーの電圧の違い
コンデンサーマイクでは、ファンタム電源が使われることが多いと解説してきましたが、最近ではパソコンなどのUSB端子から電源を供給するUSBコンデンサーマイクという種類も増えてきました。
このUSBバスパワーは、ファンタム電源とは異なる電源になりますが、ファンタム電源の電圧が48Vが一般的なのに対して、USBバスパワーの電圧は5Vになっています。
つまり、ファンタム電源とUSBバスパワーでは、電圧が大きく異なります。
それぞれの電圧に適したコンデンサーマイクになっているため、通常のコンデンサーマイクをUSBから電源供給して使ったり、反対にUSBコンデンサーマイクをファンタム電源に繋ぐということは出来ません。
XLR端子のマイクをUSBマイクに変換するツールなども販売されていますが、あくまでもダイナミックマイクの場合であり、コンデンサーマイクではそもそも電圧の仕様が異なりますので、使うことは出来ないため注意してください。
なお、USBコンデンサーマイクについては、以下のページでも紹介しておりますので、良かったら参考にしてください。
まとめ
このページでは、コンデンサーマイクで使われるファンタム電源についてまとめてみましたが、いかがでしたでしょうか?
ファンタム電源について、
- コンデンサーマイクで必要な電源
- XLRケーブルを伝って電気が流れる
- 使い方次第では故障の原因になるので注意
を解説させて頂きました。
初めてコンデンサーマイクを購入する場合は、ファンタム電源と言われても分からないことが多いですが、是非このページが参考になると嬉しいです。
最後までお読みいただきまして、ありがとうございました!