音響機材の中でも、ミキサーという言葉は良く聞くことが多いのでは無いでしょうか?
ライブやイベント会場などの場所はもちろんのこと、商業施設から自宅まで様々なところで使われています。
ミキサーの主な役割は、簡単に言うと「複数の音声を調整して混ぜる(ミックスする)」ことになります。
もう少し具体的に言えば、入力した音声に対して、音量の調整やエコー、コンプレッサーなどをかけて、それぞれを混ぜ合わせた音を出力する、ということができます。
このページでは、よく使われている音響機材のミキサーについて、どんな役割を持っているのか、他の音響機器との違いや適した使い道をまとめていきます。
ミキサーとはどんな音響機材なのか?
冒頭でも解説しましたが、ミキサーとは「音声を調整して混ぜる」ことができる機械です。
「音を混ぜる」と言うと少し分かりにくいですが、複数の音声を組み合わせるというイメージになります。
ただ、ミキサーを使わなくても複数の音声を入力することは出来ますが、ミキサー機材の最大の特徴は、それぞれの音声を調整・編集した音で出力できることになります。
後ほど、もう少し具体的に解説しますが、ミキサーの機材上で、それぞれの入力された音に対する音量調整を行ったり、音の圧縮やリバーブをかけて、音声を聞きやすくすることができます。
ミキサーの種類
ミキサーと一言で言っても、大きく
- アナログミキサー
- デジタルミキサー
- パワードミキサー
の3つの種類に分かれています。
アナログミキサー
入力された音源をアナログ音源のまま、ミキシングする機材をアナログミキサーと呼びます。
マイクなどで録音している音声は、元々アナログ音源としてミキサーに入力されており、アナログミキサーはそのままの音を加工・調整していくミキサーになります。
アナログミキサーには、操作が非常にシンプルで使いやすい、という特徴があります。
また、価格帯も安く、様々な用途にアナログミキサーは使われています。
おすすめのアナログミキサーはMACKIEのMIX5です。
600gと軽量でスリムな形をしていて持ち運びに便利です。
また低価格ながら音質も安定感もあるコンパクト・アナログミキサーです。
デジタルミキサー
デジタルミキサーは、取り込んだアナログ音源をデジタル音源に変換してから、ミキシングする機材になります。
デジタルミキサーの特徴は、コンパクトながら多機能なことです。
アナログミキサーの場合は、それぞれの音声調整に対して、それぞれのつまみが準備されていますが、デジタルミキサーでは、内部に調整する機能が搭載されていて、つまみを兼用して使うことができます。
そのため、機械自体コンパクトになっていながら、様々な機能を使うことができます。
また、ほとんどのデジタルミキサーでは、メモリーが搭載されているため、一度設定した内容を記憶させておくことができます。
おすすめのデジタルミキサーは、ライブ配信向けにも使えるZOOMのLiveTrak L-8です。
通常のデジタルミキサーの機能に、プラスでライブ配信向けの機能がさらに付いているので、これ一台あれば何でもできるミキサーです。
特に、スマホ入力の端子も付いているので、電話の音声をミックスすることもできます。
パワードミキサー
パワードミキサーは、アナログミキサーにパワーアンプを内蔵した機材になります。
元々ミキサーだけでは、音声信号が微弱であり、スピーカーなどに繋いでも大きな音を出すことができません。
パワードミキサーの場合では、その微弱な音声信号を増幅させて出力することが出来るため、直接スピーカーなどに繋いでも音を出すことができます。
主に、機材を減らしたい場合や小さめの会場などで使われていることが多いです。
おすすめのパワードミキサーはBEHRINGERのEUROPOWER PMP4000です。
パワーアンプ部は300Wx2(8Ω)のハイパワーで文句なし、クリアで明るい高音質サウンドで非常に使い勝手のいいミキサーです。
また内蔵されているエフェクターFXも人気が高く、小規模から中規模のライブまで使われています。
ミキサーの役割とは?どんなことが出来るのか?
ここからは、ミキサーを使って主に出来ること、役割などをまとめていきます。
音声の入出力
まず、当然ですが、ミキサーでは音声の入出力を行うことができます。
入力端子の数はミキサーの種類によって異なり、小さいものでは2チャンネル分、大きいものでは48チャンネル分まで入力することができます。
出力する際は、アンプなどに繋ぐことが多いですが、オーディオインターフェイスが搭載されている場合は、USBでパソコンに直接取り込むこともできます。
ファンタム電源:コンデンサーマイクに必要な電源
ミキサーには、ファンタム電源が搭載されていることがあります。
このファンタム電源とは、コンデンサーマイクを使う際に必要な電源となっています。
コンデンサーマイクをケーブルで入力端子に繋いだ後に、ファンタム電源のスイッチを押すとコンデンサーマイクに電源が入り、使うことが出来るようになります。
ゲイン:音量調整
それぞれの入力された音に対して、ゲイン(音量)を調整することができます。
入力されている音量がそれぞれ異なる場合、調整しておかないと音が割れてしまったり、反対にほとんど聞こえない音が出てしまったりと、聞きにくい音声になってしまいます。
ミキサーでは、入力されたチャンネル毎にゲイン調整することが出来るため、バランス良く聞こえるように調整できます。
コンプレッサー:音を圧縮して整える
コンプレッサーとは、入力された音を圧縮して音量を整える機能になります。
ボーカルや楽器演奏など、どうしても途中で音量が大きくなったり小さくなったりしてしまう場合があります。
そんな時にこのコンプレッサーを使うと、それぞれの音を圧縮して音量を均一化し、聞きやすい音声に調整することができます。
イコライザー:周波数を整える
イコライザ―とは、EQとも略されますが、特定の周波数帯域を強めたり弱めたりする機能になります。
周波数は、その音が1秒間に何回空気振動したかを表した回数で、その大きさで音の高低を決めています。
簡単に言えば、高い音を強くするか弱くするか、低い音を強くするか弱くするか、を決める機能がイコライザ―です。
例えば、ボーカルの入力音声であれば、低音域をカットしておくことで、より歌声だけをクリアにした音声に調整することができます。
エフェクト:エコーやリバーブ等をかける
他にもミキサーでは、多くのエフェクトをかけることができます。
代表的なものは、エコーやリバーブ、ディレイなどになります。
音声を少し加工させる効果があり、例えばライブでは歌っている時とMCの時の音声の変化、イベントなどでは盛り上げる際に使われることがあります。
ミキサーと他の音響機材との違い
ミキサーは、前述した通り、複数の音声を調整して混ぜるという役割を持っている音響機材です。
他にも、様々な音響機材がある中で、初心者の中でもミキサーとの違いが分かりにくい他の機材を紹介していきます。
オーディオインターフェースとの違い
入出力する上で使われることが多いのが、オーディオインターフェイスと呼ばれる機材です。
オーディオインターフェイスとは、マイクなどで拾ったアナログ音声をデジタル変換してパソコンに入力する役割と、パソコンからデジタル音声を取り込みアナログ音声としてスピーカーなどから出力する役割、を持っています。
そのため、ミキサーと同様に入出力するという機能は同一ですが、ミキサーのようにコンプレッサーをかけたり、エフェクト効果をつけるという機能は、オーディオインターフェイスには付いていません。
あくまでもオーディオインターフェイスは、編集・加工せずに入出力することが役割の機器になります。
主にパソコンに音声を取り込みたい場合に、使われることが多いです。
アンプとの違い
アンプは、簡単に言えば「音を増幅させる」という役割を持つ機材になります。
もう少し具体的に言えば、入力された音声を増幅させて出力する、というのがアンプの大きな特徴です。
マイクなどで拾った音声は、微弱な電気信号のため、直接スピーカーなどから音を出すことは出来ません。
そこでアンプを使って、この音の電気信号を増幅させることで、スピーカーから音を出すことができます。
ミキサーのように複数の音をミックスするという機能では無く、増幅させることがアンプの役割になります。
また、前述のようにミキサーから出る音声信号も微弱なため、ミキサーから出力された音声をアンプに入力して、スピーカーなどから音を出すという場合が多いです。
ミキサーはどんな使い方が適しているか?
ここまででミキサーがどんなもの機材なのかが、分かってきたと思います。
最後に、ミキサーがどんな場面での使い方に向いているかをまとめていきます。
ライブ・イベント
ライブやイベントなどでは、複数の音声を取り込む必要があるため、ミキサーはほとんどの場合で使われていると思います。
特にバンドなどでは、楽器ごとに音声を調整しないと、観客にも非常に聞きにくい音になってしまいます。
また、イベントではBGMを流しながらマイクでアナウンスを行ったりする際にも、それぞれの音量等を調整する必要があるため、ミキサーを使っていることがほとんどです。
ストリーミング配信
自宅からYouTubeやゲーム実況などのストリーミング配信を行う際にも、ミキサーが使われていることがあります。
ゲームの音声を取り込みながらマイクで自分の音声を混ぜたり、弾き語り配信にエコーなどのエフェクトをかけたり、ということができます。
このようなストリーミング配信で使われるミキサーの多くは、オーディオインターフェイスが内蔵されており、パソコンのUSBに接続するだけで簡単に音声を取り込むことができます。
まとめ
このページでは、ミキサーについてどんな役割を持っているのか、他の機材との違いや使い道についてまとめてみましたが、いかがでしたでしょうか?
ミキサーの主な役割は、複数の音声を調整して混ぜて出力することになります。
そして、様々な調整やエフェクトをかけて、より聞きやすい音声を作り上げていくことがミキサーの最大の役割となります。
「ミキサー」というと使うのが大変そうなイメージはありますが、自宅など個人用のミキサーもありますので、是非色んなミキサーを探してみると楽しいですよ。
最後までお読みいただきまして、ありがとうございました!