コンデンサーマイクには、大きくラージダイアフラムとスモールダイアフラムの2種類があります。
これは、コンデンサーマイクの内部に使われている振動板というダイアフラムの大きさの違いで、ラージとスモールに分けられています。
このダイアフラムの大きさで、マイクの特徴は大きく変わります。
このページでは、コンデンサーマイクのラージダイアフラムとスモールダイアフラムについて、違いや特徴からおすすめの使い方までをまとめていきます。
ラージダイアフラムとスモールダイアフラムの違い
まずは、コンデンサーマイクのラージダイアフラムとスモールダイアフラムの違いについて、解説していきます。
そもそもダイアフラムとは?
そもそもダイアフラムと聞いて、知らない方も多いのでは無いでしょうか?
コンデンサーマイクは、音を受けるダイアフラムと呼ばれる振動板とバックプレートの2枚で構成されています。
このダイアフラムが、音の空気の振動により電気信号を発生させて、それをバックプレート側が受け取り、音声としてパソコンや機器に取り込むことができる仕組みになっています。
なお、コンデンサーマイクの構造を知りたい方は、以下の記事も参考にしてみてください。
ダイアフラムの口径の大きさによる違い
ラージダイアフラムとはこの振動板であるダイアフラムが大きいタイプのもの、スモールダイアフラムは反対に小さいタイプのものを指しています。
ラージダイアフラムはダイアフラム径が1インチ程度(24~25mm)で、ずっしりと重さのあるマイクが多いです。
一方、スモールダイアフラムは、ダイアフラムの径が1/2インチ以下(12~13mm以下)で小型やスリムなコンデンサーマイクが多いです。
このように、コンデンサーマイクの肝であるダイアフラムの大きさによる違いで、ラージダイアフラムとスモールダイアフラムに分かれています。
ラージダイアフラムマイクの特徴
ラージダイアフラムマイクは、ダイアフラムの径が大きいマイクになりますが、マイクの大きさ以外にどのような特徴があるのでしょうか?
ラージダイアフラムのメリットは感度の高さ
ラージダイアフラムは、感度が高いというメリットがある一方で、大きな音圧や高音域に弱いという特徴があります。
ダイアフラムが大きいということは、その分空気の振動をキャッチしやすく、小さな音圧であっても振動板が揺れて、音声入力することができます。
そのため、感度が高く細かい音のニュアンスも拾えるので、コンデンサーマイクの中でも人気のあるタイプになります。
ただし、大きな音圧の音だと歪みが発生してしまうことがあります。
また、ラージダイアフラムは大きいだけでなく重たいので、高い音域の音だと振動されにくくなる傾向があり、高音域は拾われにくくなります。
ラージダイアフラムマイクに合う使い方
ラージダイアフラムマイクの特徴が分かったところで、どのような使い方が合うかを紹介していきます。
ボーカル(声)録音
ボーカル録音でラージダイアフラムのマイクを使うことで、繊細な音のニュアンスをしっかりと表現することができます。
また、楽器と比べてもそこまで大きな音圧にはならず、ボーカルの高音域であればラージダイアフラムでも問題無く拾うことができます。
カラオケマイクのように縦方向からの音を収録するものもありますが、ボーカル録音ではサイドアドレス型の横向きマイクが使われることが多いです。
ゲーム実況やストリーミング配信
PCを使ってゲーム実況やYouTubeなどのストリーミング配信を行う際にも、ラージダイアフラム型のマイクが適しています。
先ほどのボーカルと同じく、声を収録する場合、ラージダイアフラムマイクを使うことで、低域から高域まできっちりと拾ってくれます。
ただし感度が高い分、自宅の部屋で使う場合は騒音なども拾ってしまう場合があります。
もし、部屋や外でどうしても大きなノイズが発生する場合は、超単一指向性のラージダイアフラムマイクなど指向性のあるタイプを選ぶようにしましょう。
おすすめのラージダイアフラムコンデンサーマイク
ここからは、おすすめのラージダイアフラムマイクを紹介していきます。
audio technica / AT4040
レコーディングマイクの中でも定番のマイクと言えるのが、audio technicaから発売されているAT4040です。
大口径ダイアフラムを搭載しているコンデンサーマイクで、非常にフラットに収音してくれるのが特徴的です。
そのため、自宅での録音でもクリアな音質で拾ってくれるので、良く使われています。
ボーカルだけでなく楽器のレコーディングにも使用できる非常に万能かつ高品質のマイクです。
AKG / C214
AKGの定番マイクC414と同等の仕様で作られているのが、C214のダイアフラムコンデンサーマイクです。
中音域が特に強めのタイプで、非常に使いやすいタイプです。
全体的に低音域は拾わないような設計にしているので、女性のボーカルや少し高い音域を録音したい時に向いています。
スモールダイアフラムマイクの特徴
次に、ダイアフラム径の小さいスモールダイアフラムマイクの特徴をまとめていきます。
スモールダイアフラムのメリットは高音圧や高音域に強い
スモールダイアフラムは、大きな音圧にも耐えられて高音域でもしっかりと拾うことができる反面、ノイズ発生や感度が低くなってしまう特徴があります。
スモールダイアフラムの振動板は、硬くて小さいので、高音圧でも歪みがなく安定して音をキャッチすることができます。
また、軽いダイアフラムは高音域の振動でも揺れるので、ラージダイアフラムと比べると高音域でも音を拾うことができます。
一方で、低音域や中音域においては、音圧が低いと振動板を揺らすことができず、感度が低くなりやすく、その分音量を引き上げた際にノイズが発生しやすいです。
スモールダイアフラムに合う使い方
スモールダイアフラムマイクの特徴が分かったところで、どのような使い方が合うかを紹介していきます。
ピアノやギター(アコギ)の楽器録音
大きな音に強いスモールダイアフラムマイクは、ピアノやギターなど楽器演奏の録音には強いです。
ボーカルや声と違ってより大きな音声入力は、ラージダイアフラムでは歪んでしまうことも多く、その分スモールダイアフラムの方がピッタリです。
ただし、ピアノやギターの録音に使うのであれば、出来るだけ近い距離にマイクをセッティングすることで、より効果を発揮しやすいです。
もし、部屋の残響音なども含めて録音したいのであれば、ラージダイアフラムマイクで少し離れたところから狙うのがよいでしょう。
ドラム(打楽器)のレコーディング
先ほどの楽器の中でも特にドラムなどの打楽器では、スモールダイアフラムマイクは使われやすいです。
ドラムは、音圧が高くスモールダイアフラムマイクで無いと、音をしっかりとキャッチすることができません。
また、ピアノやギターのような残響音をドラムに求めてしまうと、リズムがずれてしまうこともあります。
ドラムのレコーディングでは、スモールダイアフラムマイクを使って近距離での録音が良いでしょう。
おすすめのスモールダイアフラムコンデンサーマイク
最後におすすめのスモールダイアフラム型のコンデンサーマイクを紹介していきます。
BEHRINGER / C-2
BEHRINGER C2はスティックタイプのコンデンサーマイクで、ステレオペアタイプのマイクです。
周波数特性も高く、ドラムやピアノ、コーラスなどにもぴったりなスモールダイアフラム型のマイクです。
価格は6,000円前後とかなり低価格ながら、性能も高く非常に使いやすいマイクです。
AKG / C451B
こちらも先ほどのC2と同じく、スティックタイプのスモールダイアフラムマイクであるAKGのC451Bです。
最大音圧レベルが135dBと高く、音圧の高いドラムやアコギなどの録音で使いたいマイクです。
-10dBと-20dBのPADスイッチも付いており、レコーディングやライブでも使えるコンデンサーマイクです。
BLUE / ember
デザイン性の高さで人気のBLUEから発売されている、スモールダイアフラム型のコンデンサーマイクがemberです。
こちらも最大音圧レベルが132dBと高く、楽器の録音やライブなどで非常に使えるマイクです。
また、BLUEらしくネット配信にも対応し、超低ノイズを実現しているコンデンサーマイクです。
まとめ
このページでは、ラージダイアフラムマイクとスモールダイアフラムマイクの違いについて解説してきましたが、分かりましたでしょうか?
- ラージダイアフラムマイク:ダイアフラム径の大きいマイクで感度が高い
- スモールダイアフラムマイク:ダイアフラム径の小さいマイクで高音圧に強い
上記が一般的な分類になりますが、使い方や録音の仕方次第でも大きく変わります。
特に、マイクの位置次第で大きく録れる音が変わってきますので、このページを参考に使い分けてみてはいかがでしょうか。
最後までお読みいただきまして、ありがとうございました!