高音質を求める方に愛用されているのが、コンデンサーマイクです。
カラオケなどに使用するダイナミックマイクとは異なり、細かい音を拾う作業に適しているのがコンデンサーマイクです。
そのコンデンサーマイクについて構造を理解して、マイクを選んでいきましょう。
コンデンサーマイクとは?
コンデンサーマイクの特徴は音への感度が高いこと。
周波数の高い音やきめ細かい音などを録音することができます。
それに、ダイナミックマイクは前方の音しか拾うことができないのに対し、コンデンサーマイクは全方向の音を拾うことができます。
そのため、繊細な音を録音するような、プロのアーティストのレコーディングなどで使われことが多いマイクです。
テレビでアーティストがレコーディングしているときに使っているのを見たことがある人もいるのではないでしょうか。
本格的に音楽をやりたい、高い音質を求めている人には向いているマイクになってくるかと思います。
コンデンサーマイクの構造について
コンデンサーマイクとは、コンデンサーの仕組みを利用して音を拾い上げるマイクです。
コイルを通じて音の振動を電気信号へと変換するダイナミックマイクとは異なり、電気を蓄積できるコンデンサーという素子の性質を利用して音による空気振動を電極間の静電容量変化として再現し電気信号に変換するため、より精密で高精度の入力が可能なマイクです。
音の振動を電圧の変化として再現するため、強弱をはっきりと再現できるという特徴を持っています。
わずかな音の変化もしっかりと再現できますから、高音質を求めるプロアーティストのレコーディングなどに使用されています。
コンデンサーマイクの特徴について
特にボーカルやギターソロなど繊細な音を表現するパートに強く、細かい音の表現などもしっかりと拾い上げてくれます。
高音質で精密なコンデンサーマイクですが、その精密さゆえにわずかな振動にも弱いという欠点があります。
本体が振動してしまうとその振動をも電気信号として拾い上げてしまうため、本体が振動するとノイズが発生してしまいます。
大きな音や強い音には不向きですから、振動の強い打楽器の録音などには不向きのため、大きな音の集音の際はダイナミックマイクが使用されることがほとんどです。
またコンデンサーを作動させるにはファンタム電源という電源が必要なため、野外などでは少し使いづらいマイクとなります。
人の少ない環境や、静かな室内での使用にはコンデンサーマイクは最適です。
正確に音を録音できるため、高音質のレコーディング以外にも、パソコン用のマイクとも相性がいいです。
ノイズを軽減するため、ノイズカット機能を搭載したコンデンサーマイクもあります。
コンデンサーマイクには高価で、使用する場所が限られるっていうデメリットと、高音質というメリットがあります。
コンデンサーマイクのメリットをよく知って、自分の望み通りの録音作業を行いましょう。
コンデンサーマイクの指向性
単一指向性マイク
まず、特定の方向の音だけを捉えやすいのが単一指向性のマイクです。
単一指向性のマイクには振動板の後ろ側にも音の通り道となる穴や溝が設けられているので、マイクの後方で鳴っている音は間接音として振動板の裏側に届くとともに、直接音として同じ音が回り込んで少し遅れて振動板の表側にも届きます。
このため、間接音を振動板の裏側に到達する速度を遅らせるために、音の通り道に障害物などを設け、意図的に直接音と同時に到達するようにします。
すると直接音と間接音は振動板の表と裏で同時に到達し、そのエネルギーが相殺されることによって、電気出力とはならなくなります。
一方、前方の音はまず振動板の表側に伝わり、裏側には回り込むため遅れて届くとともに、音の通り道の障害物によってさらに到達が遅れ、表側の音は相殺されることなく電気出力されます。
演奏者が一人という場合にはこの指向性が適しており、その中でもカーディオイド、少し広い範囲で拾えるサブカーディオイド、より広い範囲で拾えるスーパーカーディオイド、さらに広い範囲の音を拾えるハイパーカーディオイドと4つのパターンがあり、後者ほど全指向性に近いマイクです。
双指向性マイク
双指向性は、マイクを縦に置いた場合に拾える音が真正面だけではなく真裏側の2面が可能という特性です。
金属箔が音による空気振動によって震えることで電気出力を起こしますが、この金属箔は上下を固定して軽く張ることによって空気振動を受けやすい構造になっていて、前後から空気振動に曝されているので、2方向からの音源を強く捉えることができます。
2名での会話やデュエットソングを歌う際にも適しており、市販されているマイクの中にはスイッチで単一指向性と双指向性を切り替えできるタイプのものもあります。
全指向性マイク(無指向性マイク)
全指向性のマイクは、全ての方向の音を拾うことが出来る特性です。
複数の人数で同時に演奏したり話をしたりなどという場合に適しています。
無指向性のマイクの特徴は振動板に届いた音がすべて電気出力となることです。
振動板の前方が音場に対して拡げられている構造になっているので、向きや角度は関係なく、音の大きさだけに反応します。
ややハイクラスのマイクの場合、スイッチで単一指向性と双指向性、そして全指向性を切り替えることが出来るものもあります。
コンデンサーマイクの使い方について
コンデンサーマイクは、ダイナミックマイクよりも録れる音の範囲が大きいというという特徴を持ちます。
そのため、防音対策のしっかりしたスタジオでの使用は問題ありませんが、自宅で使用すると少々取り扱いには注意が必要なマイクです。
コンデンサーマイクの性能だと、マンション・アパートであれば隣人の会話や雑音はもちろん、飛行機や車の音まで拾ってしまいます。
一軒家でも家族の会話やちょっとした騒音でも録音されてしまうのです。
また、ダイナミックマイクよりも壊れやすく、取扱いを間違えると本来の性能を失ってしまいます。そのため、コンデンサーマイクの使用時に注意してもらいたい点がいくつかあります。
※分かりやすいようにUR22mkllのオーディオインターフェースを使用した場合のポイントを記載しておりますので、お使いの機種によって異なる場合がございますのでご了承ください。
コンデンサーマイクの接続の仕方
基本、コンデンサーマイクの仕様にはファンタム電源という専用の電源が必要となり、さらにXLR端子のケーブルが必要となります。
まずUR22mkllのすべてのノブを最小にし、Hi-ZスイッチをOFFにします。
次に裏面の+48VスイッチがOFFになっていることを確認します。
これがONになっているとマイクが壊れる可能性があります。
OFFを確認したら、マイクをINPUT1に接続し、裏面の+48VのスイッチをONにし、準備完了となります。
コンデンサーマイクの外す手順
マイクを抜くときにも注意が必要です。
まず、UR22mkllのすべてのノブをゼロにし、裏面の+48VのスイッチをOFFにした後に、マイクケーブルを抜く必要があります。
入れる時も抜くときもOFFになっていることを確認するということです。
コンデンサーマイクの性能を最大限に活かす
とにかくコンデンサーマイクは雑音も拾ってしまいますので、以下のようなことを行っておくと性能を最大限に活かすことができるかと思います。
- 使用時は窓を閉め、あればカーテンも閉め防音する。
- 電波を発するようなパソコンからは離れて設置する
- コンデンサーマイクの周り半分を吸音材で覆う
- ポップガードを口とマイクの間に置く
また、マイクとの距離はマイクとポップガードの間は指3本分、ポップガードと口の間も指3本は距離を開けます。
ちなみに口元よりも少し上にマイクを配置すると声の響きが良くなります。
基本、歌うときはマイクの正面、一番音を拾いやすいところで歌うことをお勧めします。
収納時にも注意
コンデンサーマイクは湿気に弱いという欠点があります。
プロであれば、スタジオでデシケーターというコンデンサーマイク専用の機械があり、湿気や防臭、防カビ対策が行えますが、個人的に使用する場合はなかなか揃えれない機械です。
そこで出来る対策に、保存用ポリ袋を用意し、そこに乾燥剤を入れてコンデンサーマイクを入れるという方法があります。
しっかり空気を抜いて保存し、定期的に乾燥材を入れ替えると良いでしょう。
ちなみにこの工程がうまくいかなかった場合、保存手順に手抜きをしてしまった場合は、コンデンサーマイクに湿気がついてしまい、レコーディング時にノイズが発生するようになってしまいます。
コンデンサーマイクをパソコンへ繋いで録音する方法
コンデンサーマイクとパソコンの接続の注意点
コンデンサーマイクは、外部からファンタム電源という一般的に+48Vの電源によって駆動します。
この電源をマイクに供給するためにXLR(キャノン)ケーブルと呼ばれる特殊なケーブルと外部電源供給機器を繋げます。
そのため、コンデンサーマイクをパソコンに繋げるためには、マイクの他にミキサーやオーディオインターフェイスといった機材なども購入する必要があります。
コンデンサーマイクからパソコンまでの接続方法
コンデンサーマイクからパソコンまでの経路は、
マイク⇒XLRケーブル⇒オーディオインターフェイス or ミキサー⇒フォン 3.5mmミニジャックケーブル⇒パソコン
の順となります。
この経路は、パソコンへライン入力(アナログ入力)で接続する方法なので、もしパソコンにUSBで接続したい場合は、オーディオインターフェイスをA/D変換に対応したものに変更することでUSBでの入力も可能です。
また、最近はコンデンサーマイクに電源が内蔵しており、マイクから3.5mmミニジャック出力が出来る機種やUSBで出力出来る機種もあるので、用途によって選択ができます。
コンデンサーマイクをスマホへ繋いで録音する方法
スマホを使って録音をする際には、スマホの内蔵マイクではなく、コンデンサーマイクをスマホに繋ぐとICレコーダーのような高音質で録音することができます。
なお、スマホにコンデンサーマイクを繋いで録音をする際には、以下のような手順で行います。
ボイスレコーダーアプリやDAWアプリをインストールする
スマホに音声を高音質で録音するには、ボイスレコーダーアプリを使用することが必要になります。
ボイスレコーダーアプリは無料でダウンロードすることができ、劣化のない非圧縮形式で録音できるアプリも無料でダウンロードできます。
WAVEファイルで保存できるものだとパソコンで編集することも可能です。
なお、スマートフォンで音楽制作をしたい方は、DAWアプリをインストールすることが必要になります。
スマートフォン用のオーディオインターフェイスを用意する
安価なピンマイクのコンデンサーマイクであれば、マイクの端子をスマートフォンのジャックに差し込むと録音することができます。
しかし、音楽制作を目的としてスマートフォンにコンデンサーマイクを繋ぐには、スマートフォン用のオーディオインターフェイスが必要になります。
オーディオインターフェイスはいろいろな商品が販売されていますが、ダイナミックマイクだけしか使用できず、コンデンサーマイクを使用できないものがあるので注意します。
コンデンサーマイクを使用するには、ファンタム電源を備えたオーディオインターフェイスが必要になってきます。
コンデンサーマイクを使えるオーディオインターフェイスを準備できたら、スマホにオーディオインターフェイスを接続し、オーディオインターフェイスにコンデンサーマイクを接続すると、スマホで録音することが可能になります。
コンデンサーマイクを選ぶポイント
さて、前の見出しでパソコンまでのコンデンサーマイクの繋ぎ方を紹介しましたが、初めて購入する方向けにマイクや周辺機器をどんな基準で選べば良いかをご紹介します。
紹介する内容は一般論のため、実際にコンデンサーマイクを購入する際は、機器のスペックを調べることをおすすめします。
とりあえず録音したい人向け
とにかくマイクから音が録音できればいいという方は、接続が一番簡単な電源内蔵型のコンデンサーマイクが一番お勧めです。
メリットは、接続がシンプル(マイクから直接パソコンラインインやUSBポートに差し込むだけ)なところです。
デメリットは、コンデンサーマイク自体にプリアンプやサウンドカードが内蔵しているので、重く大きいところです。
また、マイクのメーカーが設定したアンプ量や周波数特性から自分で変えることができないので、自由度は低いです。
音質にこだわる人向け
音質にこだわるのであれば、マイクと電源部分が別々のものを購入することをおすすめします。
ケーブルに重畳するノイズを抑えたいのであれば、アナログ経路をより少なくすべきなので
コンデンサーマイク⇒オーディオインターフェイス(A/D変換がついているタイプ)⇒USB出力
の接続となります。
マイクの音の特性を変更したいのであれば、周波数特性を変えられるイコライザー機能が必要なので、
コンデンサーマイク⇒ミキサー⇒ライン出力
の接続となります。
使用用途によって選ぶ商品も変わります。
コンデンサーマイクと一緒に購入したいもの
コンデンサーマイクは手に持って使うと動かしただけでノイズが入ります。
歌い手であればマイクスタンド、ゲーム実況者であれば卓上スタンドが必要不可欠です。
これに加えてショックマウントも用意すべきでしょう。
マイクが足音を拾わなくなります。
ゲーム実況であっても肘をついたり、物を机に落とした際のノイズ対策になります。
また、息をマイクに吹いたときに生じるノイズを消すためにポップガードをつけるとよいです。
ポップガードはゲーム実況者にとって必須と言っていいでしょう。
また必要なものが一通り揃っているコンデンサーマイクセットに関してもおススメです。
コンデンサーマイクセットとは、コンデンサーマイクのほかにマイクスタンドや、マイクで録音している時にポップノイズが入らないようにしてくれるポップガードなどが入っています。
おすすめのコンデンサーマイク10撰
初心者にオススメのECM-PCV80U
コンデンサーマイクの使用が初めての方は、「SONYエレクトレットコンデンサーマイクロホンECM-PCV80U」がオススメです。
価格は約3,000円程度で非常に安いコンデンサーマイクです。マイクホルダー、テーブルスタンド、USBケーブル(0.5m)、USB Audio BOX、マイク本体とマイクケーブル(2.0m)が全て付いていて、この価格となっています。
多少ノイズが気になりますが、マイクレベルを下げれば問題なく使用できます。
価格は安いですが十分に使用でき、性能も程良い立派なコンデンサーマイクとなっています。
初心者の方にとっては、手を出しやすい商品です。
安くて音質の良いBEHRINGER C-1
金属製ダイキャストボディの非常に頑丈なコンデンサーマイク「BEHRINGER C-1」です。
Amazonだと8,100円で一万円以下で購入できます。
小さめのサイズですが、ずっしりとした重みがあり、音質も良く十分なクオリティです。
ただ、感度が高いためか、非常に音を拾ってしまいますので使用環境を選ばなければなりません
また、ホワイトノイズが乗ってしまう場合があるため、そこが気になる点ではありますが、性能はさほど悪くはないため、初心者の方にはオススメのコンデンサーマイクです。
マランツプロ MPM1000U
とにかく安くて高音質のものが欲しい方にオススメです。
老舗のmarantzが低価格帯でも妥協せず作り上げた製品です。
3000円以下のエントリーモデルで満足できなくなった層の期待に応えてくれます。
USB接続が可能で、PCだけでなくiPhone/iPadにも簡単に接続できてるので初心者も安心。
逆におなじみのXLRコネクターを利用できないので注意してください。
初心者が予算1万円で選ぶとしたら、この製品でしょう。
MXL V67G
創業者が日本のモガミケーブルとゆかりのあるMXLのコンデンサーマイクです。
30年以上スタジオマイクロホンを作り続けてきた歴史と実績のあるメーカーです。
ボーカル録音にも耐えられる品質ですから、実況系に限らず音楽系の方にも購入を一考してほしい製品です。
特に中域から高域の音をよく拾ってくれます。
また、ハイグレードなコンデンサマイクとは違って取り扱いが楽なのがいいです。
除湿庫が無くても商品が梱包されてきた箱に除湿剤をいくつか入れておくだけでウチでは問題なく使えてます。
1万円ほどで購入できるので、宅録初心者から見栄えするマイクが欲しい実況者まで幅広い方にオススメです。
RODE NT1A
元祖ハイコスパ コンデンサーマイクとして不動の地位を築いた伝説の名機「NT1」の後続機として登場したのがこの「NT1A」です。
集音性に優れており、低音量から高音量の楽器まで幅広く録音できます。
もちろんボーカル録音もこなしますが、マイクに強く息を吹きかけた際に生じるノイズ、いわゆる”吹かれ”に弱いところがあるので対策が必要です。
周辺機器にもしっかりした物を用意したくなる製品です。価格は2万円台前半が相場。
Blue Microphones Bluebird SL
ときおりミュージックビデオで見かけるコンデンサーマイクです。
性能のみならずデザインも評価されており、「欲しい!」と思わせるところがあります。
得意なのは中域から高域のボイス。
本体の前面には2つのスイッチがついており、これを操作してマイクプリアンプへ送るレベルを変えたり、低域の音をカットすることができます。
高級機とされる「bluebird」を3万円台前半で購入できることにコスパ感を覚えたなら買いです。
audio technica AT2050
このマイクは音を大事にしていて、フラットで綺麗な音を録音することができるマイクとなっています。
素敵な音をだすことができるようになっていますので、大変人気があるマイクとなっています。
AKG C3000
コンデサーマイクをまだ使った事がない人や、初心者の方が使うには向いています。
全体的なバランスを、とってくれて耐久性もあるため、とても使いやすいマイクになっています。
初めてマイクを購入する時に、どのマイクを購入しようか迷っている方は、是非AKG / C3000のマイクをおすすめします。
SE ELECTRONICS SE2200a II Multi-Pattern
このマイクは様々な場面に使えるし、万能性に優れているマイクになっています。
使いやすいし、結構プロの人が使うと方が多いマイクなのです。
CAD GXL 3000 BP
録音機能が高いので、録音する方にはおすすめです。
以上がコンデンサーマイクに関しての記事でした。
コンデンサーマイクはとても繊細なマイクなので、購入だけでなく購入後の保管等も正しく使用してもらえればと思います。